群発頭痛とは？

群発頭痛は、片側の目の奥に激しい痛みが繰り返し発作的に起こる 頭痛の一種です。
発作は 数週間〜数ヶ月の「群発期」 に集中し、1日に複数回起こることもある のが特徴です。

この痛みは 神経因性疼痛（nervous pain）に分類され、通常の片頭痛とは異なるメカニズム で生じます。
痛みの強さは片頭痛以上とされることが多く、発作中はじっとしていられないほどの苦痛 を伴います。

群発頭痛の患者は 有病率が低く、全人口の約0.1%〜0.3% にみられます。

🔍 群発頭痛かも？セルフチェック

✅ 片側の目の奥に激しい痛みがある（えぐられるような強烈な痛み）
✅ 痛みは発作的に起こり、1回15分〜3時間続く
✅ 発作は1日1〜8回、毎日決まった時間帯に起こることが多い（特に深夜〜早朝）
✅ 痛みと同時に以下の症状が現れることが多い - 涙が出る・目が充血する
- 鼻水・鼻づまり
- まぶたが腫れる
✅ 群発期（数週間〜数ヶ月間）に集中して発作が起こる

👉 これらの症状がある場合、群発頭痛の可能性が高い！

🚨 ただし、以下の場合は「危険な頭痛」の可能性があります！

👉 「危険な頭痛とは？」（今すぐ病院に行くべき頭痛） ✅ 突然の激しい頭痛
✅ 手足のしびれ、麻痺、ろれつが回らない
✅ 意識がぼんやりする、けいれんが起こる

🎯 群発頭痛の原因とトリガー

群発頭痛は、視床下部（脳の体内時計を調節する部位）の異常によって発生する と考えられています。
この異常は 三叉神経と交感神経系を刺激し、血管の拡張を引き起こす ことで激しい痛みを生じます。

💡 群発頭痛を引き起こす要因（エビデンスあり）

❌ アルコール（群発期の飲酒で発作が誘発されやすい）
❌ タバコ・ニコチン（血管拡張作用による影響）
❌ 気圧の変化（飛行機・天候の変化）
❌ 睡眠の乱れ（視床下部が関与するため、体内時計の影響を受けやすい）

👉 群発期は「禁酒」「禁煙」「規則正しい生活」が基本！

💊 群発頭痛の治療法（薬・非薬物療法）

🏥 病院で処方される治療

✔ トリプタン系薬（スマトリプタン皮下注射） 💉
✔ 100% 酸素吸入療法（純酸素を15分吸入）
✔ エルゴタミン製剤（血管収縮作用）
✔ CGRP関連抗体（エムガルティ・アイモビーグなど）
✔ 予防薬（ベラパミル・リチウム・ステロイド）

🚨 ⚠ 注意！市販薬（OTC）は効果なし！ 群発頭痛は通常の鎮痛薬（ロキソニン・イブプロフェン）では効果がない ため、専門的な治療が必要！

🌿 非薬物療法

✔ 酸素吸入（病院で処方）
✔ 冷やす（氷でこめかみを冷やす）
✔ 頭痛発作が出る時間に備えて事前にトリプタンを準備
✔ 規則正しい生活・ストレス管理

🚨 発作が続く場合は、頭痛専門医への受診を！

📖 参考文献（エビデンス）

日本頭痛学会. 「群発頭痛診療ガイドライン2021」, 2021年.
公式サイト
Headache Classification Committee of the IHS. "The International Classification of Headache Disorders, 3rd Edition" Cephalalgia, 2018.
国際頭痛分類（ICHD-3）による群発頭痛の定義
Dodick DW et al. "Cluster Headache Pathophysiology and Management" Lancet Neurology, 2020.
群発頭痛の最新の病態と治療について
Goadsby PJ et al. "Oxygen Therapy for Cluster Headache" New England Journal of Medicine, 2016.
酸素吸入療法の有効性に関する研究
May A et al. "Calcitonin Gene-Related Peptide Antagonists in Cluster Headache Treatment" Brain, 2021.
CGRP関連治療（エムガルティ・アイモビーグ）の有効性